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中国早期公開特許

アジア特許情報研究会(伊藤徹男)

中国では出願から18か月を待たずに公開される特許が2012年以降、増え続け、最近では全出願の
60%以上が出願~6か月以内に公開されているという状況である。
出願ランキング上位の出願人も出願~6か月以内公開特許が全出願の80%以上というのもある。
早期公開特許の出願状況は2012年以来フォローしており、
特技懇 2019 パテント 2014 でも解説。

中国特許出願推移
中国特許庁(CNIPA)から公表された出願推移と共に公開特許数、有効登録特許数を図1に示す。
CNIPA公表の出願数に変動はないが、公開特許数、有効登録特許数は出願年基準でCNIPRから
求めたものであり、公開数はデータ更新のたびに増加し、有効登録特許数は更新のたびに
増減する。
それでも権利ある有効な登録特許は、世間が騒ぐほど膨大なものではない。
権利侵害か否かは、公開特許の登録状況のwatchと、この有効特許を把握すればよい。
中国内国から公開になったものの登録率、登録後の維持率(年金納付)は共に低い。

CN公開・登録特許TOP100
2019年公開特許ランキング(公開日基準)TOP100を表1に、登録特許TOP100を表2に示す。
但し、登録特許は2020/3/31現在の数値である(登録情報はデータが更新されると共に増加する)。
最近ではALIBABA、OPPOやVIVO MOBILEが急速に出願を増やしている反面、ZTEやXIAOMI、
かつては公開ランキングTOP5内にあったHONG HAI(2019年は100位外)の衰退ぶりが著しい。

CN超早期公開グラフ
早期公開特許の推移を図2に、参考情報として登録特許(図3)、実用新案登録(図4)、
意匠(図5)を粗いスケールであるが出願から半年ごとの公開、登録情報として示した。

出願~6か月以内の公開数は2012年以降、年々増加している(図2)。
中国では、出願と同時に審査請求していても「公開」にならないと審査に着手できないため、
早期権利化目的で早期公開請求をしているようにも思えるが、登録後の権利維持率は高くない。

超早期公開TOP30
表3:超早期公開特許(出願~公開6か月以内)出願人ランキング
民間企業でもBOE(京東方科技)などはかなり早くから早期公開制度を活用して出願している。

参考情報として台湾の早期公開状況についても調べた(参考図)。
出願~6か月以内公開こそ少ないが、出願~12か月以内公開(7-12か月公開)が18か月後公開
(19-24か月公開)より多い状況が続いている。
日本は相変わらず公開のほとんどは18か月後公開(19-24か月)である。

表4:超早期公開特許出願人の全出願公開(2020/5/31現在)
全出願数は出願年基準であるため、2018年以降の全出願数はデータ更新のたびに増加する。
CNIPRの収録更新は火曜、金曜

表5:超早期公開特許出願人ランキングTOP30の早期公開率
通常公開数が加味されてくると早期公開率も少し下がる。
2017年出願以前は、ほぼ確定。

早期公開未活用出願人
表6:超早期公開特許未活用出願人
HUAWEI、SINOPEC、ALIBABAなど出願公開上位にランクされる一部の主要出願人でも
早期公開制度を積極的に利用していない。

表7:超早期公開特許未活用出願人の全出願公開(2020/6/6現在)

表8:超早期公開特許未活用出願人の早期公開率(2020/6/6現在)
2017年以前の出願分はほぼ確定しているが、2018年以降出願分はさらに増えて(表7)、
早期公開率も下がる(表8)。

超早期公開外国出願人
表9:外国出願人の超早期公開数
外国出願人2019年公開ランキングTOP20について超早期公開を調べたが、外国出願人の
ほとんどは早期公開請求制度を利用していない。

表10:外国出願人TOP20の全出願公開(2020/6/6現在)

表11:外国出願人超早期公開率(2020/6/6現在)

いずれも出願人の表記ゆれは考慮して検索